アメリカ Boise 赤ちゃんのヘルメット治療に関して -治療を始めるまで-
あまり聞きなれない方もいるかと思いますが、赤ちゃんの頭の形をきれいな形に治す治療のことをヘルメット治療と呼んでいます。(英語では、Cranial Remodeling)
私の子どもがヘルメット治療を開始したので、それに関して記録を残しておきます。もしアメリカで治療を検討している方がいれば参考になればと思います。
治療の経過等は別の記事で随時更新していけたらと考えています。
目次
ヘルメット治療とは
冒頭に一言書いてありますが、
赤ちゃんにヘルメットをかぶせて、歪んだ頭の形を正常の範囲内に治す
といった治療になります。
始まりはアメリカで、日本にもクリニックがあるようです。(東京・大阪のみ)
日本ではまだまだ知名度が低めなヘルメット治療ですが、アメリカでは一般的な治療のようです。考えられる理由としては、
- 治療の発祥がアメリカであること
- ヘルメットを製造しているトップシェアの会社がアメリカにあること
- アメリカでは保険治療可能 (保険のプランや頭の歪みの程度による)
があげられます。日本では保険治療外で、
治療費だけで40~50万
ほどかかってしまうようです。我が子の一生に関わることではありますが、簡単には決められる金額ではありません。。。
治療開始時期は、
月齢4か月から1歳半ほどまでの間で半年程度
と言われています。首が座ってから頭が硬くなるまで、とのことです。
ヘルメットはある程度重さがあるので、首が座ってからでないと治療開始できません。また、1歳半ほどで頭は硬くなるため、それ以上のヘルメット治療は推奨されていないようです。自分でヘルメットを外してしまう、という問題もあるよう。
さて、ヘルメット治療が必要なケースですが、
- 先天的に頭の形が歪んでしまっている
- 出産時に頭の形が歪んでしまう(吸引など)
- 後天的に頭の形が歪んでしまう
が考えられます。
私の子どもは、3の後天的要因によるもので、
- よく寝た (後頭部が絶壁)
- 向き癖があった (後頭部のゆがみ)
- ドーナツクッションを使い始めた時期が遅かった
が頭の形を悪くしてしまった要因と考えられます。
治療までのタイムラインと決め手
治療までのタイムラインはこちらです。
治療までのタイムライン
1/27(2カ月検診)...
小児科医に相談 (腹ばいトレーニングを勧められる)
4/7(4カ月検診)...
再度小児科医に相談 (トレーニングを継続して様子見)
6/1(6カ月検診)...
小児科医にヘルメット治療を勧められる。
6/10(Physical Therapy)...
Physical Therapyで診察。ヘルメット治療を勧められ、専門クリニックを紹介される。
6/17(Hanger Clinic : 義足や歩行具などの専門のClinic)...
専門クリニック (Hanger Clinic)で診察。頭をスキャンして、治療に関しての詳細を聞く。(治療するしないは保険会社の承認がおりてから決定できる、詳細は後述)
6/23(保険会社の承認)...
保険会社の承認がおりる。治療する旨を伝える。
7/2(Hanger Clinicでヘルメットの受け取り、治療開始)...
ヘルメットの装着、調整。治療開始。
実際に治療を考え始めてから実際の治療が開始するまでは、1か月ほどの期間でした。
何もかもがうまく運んだ印象です。関わったすべての人に感謝です。(アメリカにいてこんなにスムーズにいくなんて正直思っていなかった...)
もう少し詳細を書いていこうと思います。
1/27(2カ月検診)...
後頭部の絶壁が少し気になっていたので、2か月検診の時に小児科医に相談をしました。そのとき言われたのは、
「Tummy time(腹ばいのトレーニング)の回数を増やして頭の形がきれいになるか様子をみましょう。目安はおむつ替えの度にやってみようね。」
とのことでした。
おむつ替えの度に毎回はできませんでしたが、なるべく心がけてトレーニングし、なおかつドーナツクッションも導入して様子をみました。
4/7(4カ月検診)...
再度相談。
いつもの先生との予定がどうしても合わず、別の先生に診てもらうことに。とてもいい先生で、頭の形も相談しました。
「確かに絶壁で形が良くないけど、前に比べて良くなった悪くなったが分からないから何とも言えない。必要があればPhysical Therapyの紹介状を書いてあげるけど、6か月検診まで待ってもいいと思うよ。」
とのこと。COVID-19のせいでPhysical Therapyは新規患者を受け付けていなかったようで、紹介状があってもすぐには診てもらえない状態でしたので6カ月検診を待つことにしました。
6/1(6カ月検診)...
いつもの先生に診察してもらえ、頭の形について相談。
「トレーニングの効果はあまりなかったみたいだね。ヘルメット治療を検討してももいいと思うよ。」
とのことで、ヘルメット治療を勧められました。4か月時に比べれば、後頭部が少し丸みをおびてきてマシだったとは思うのですが、やっぱりそうだよねと。
Physical Therapyの予約をするよう言われましたので、すぐに電話。
ちなみにこちらのTherapyの予約を取りました。正式名称は、
「Children's Rehabilitation」
というようです。(Rehab、と省略されます。最初よく聞き取れなかった...)
St. Luke's Children's Rehabilitation: Meridian
COVID-19の影響もあり、Waiting listが存在するようですぐには治療開始できない様子。
6/10(Physical Therapy)...
結論から言うと、
「ここでヘルメット治療はできない」
とのこと。
なんだとー! ここでできると思って来たのに!!
とその時は思ったのですが、子どもの動きに関する発達具合などをプロに診てもらえて、アドバイスもらえたので診察を受けて良かったです。
具体的には、このときもまだ向き癖があり、片方向にしか寝返りしないことを相談しました。反対側を向きやすくするトレーニングを教えてもらって実践したところ、反対側への寝返りもスムーズにできるようになりました。しかもものすごい短期間。
本題に戻りますが、ここでは
手で測定器を使って頭の歪みを測定してヘルメット治療の必要性を判断
していました。診断の結果は、ヘルメット治療が必要だと思うから「Hanger clinic」の予約を取ってね、と言われました。
6/17(Hanger Clinic )...
ヘルメット治療をしてくれる「Hanger Clinic」にきました。
Hanger clinic
住所:780 South 14th Street, Boise, ID 83702
義手や義足などを扱うクリニックのようで、こちらで赤ちゃんのヘルメット治療もおこなっています。(他の州でもこのClinicで取り扱っているかは分からないです)
ヘルメット治療を始めるにあたって、頭の形をスキャンしました。
この写真のSTARbandというのが、ヘルメット治療で使用されるヘルメットのブランド名で、Orthomerica社というアメリカの企業が製造しているようです。こちらの企業ですが、先ほどの日本のClinicのWebサイトを引用すると、
リモルディングヘルメットの分野で、この「510(k)」認可を4部門に渡り複数回も取得更新しているのは世界で唯一Orthomerica社のみです。勿論実績も随一、他社製品を大幅に凌ぎ、リモルディングヘルメット利用数世界トップシェアを誇っております。
とのこと。これはすごい。実績があるのは大事です。
STARbandのWebサイト
頭に白い布をかぶせ、手足を抑えて装置に寝かせてスキャンをします。スキャンは一瞬なのですが、白い布をかぶせたところで大泣き。
スキャンされた顔も泣き顔で、少し面白かった。(本人には申し訳ないけど...)
スキャン後に治療するにあたって、
- いまある頭の形に関する問題
- どこをどのように治していくか
をきちんと教えてもらえました。
(こちらのClinicには通訳サービスもありますので、日本語できちんと理解することができます。)
スキャンの結果は数値と簡単なイラストで出るのですが、
頭を4分割してどの部分が凹んでいる・出っ張っているというのが分かるようになっていて、そのデータをもとにどのように治療していくかを説明してくれました。
スキャンの結果を見ても治療を勧められました。
治療するしないは保険会社が治療を承認するかしないかを待ってからでいいとのことで、保険会社の返事待ちとなります。(この時点で私たちは保険会社の返事がどうであれ治療しようと思っていました。)
治療の決定はまだですが、ヘルメットの柄はこのタイミングで選びました。
ヘルメットの柄
第1希望、第2希望聞かれました。
99%第1希望が通るけど、万が一のため第2希望も聞いてるよ、
と言われたので第1希望はじっくり決め、第2希望はこんなのにしてみるか、
と少し迷いながらも決めました。全く想像つかないし...
どんな色の洋服が似合っているかで決めると外さない気がします。
さて、説明が終わって帰り際、保険会社に承認をもらうためには、
小児科医からHanger clinicに
- Prescription (ヘルメット治療に関する処方箋)
- Medical record (診察記録)
をFaxする必要があるとのこと。
Hanger clinicでの診察を終えてすぐ電話したときは電話口の担当者にすぐには対応できないと言われたのですが、時間を空けて違う担当者にお願いしたらアッサリOKとのこと...
アメリカあるあるでして、担当者によって対応が全く違うんですね。
これからアメリカ生活をする方はこのことを覚えておくといいです。担当者によって本当に力量が違いますから。
小児科の先生がすぐに対応してくれたおかげで、翌日には保険会社に情報がいって審査開始。その数日後には無事に承認がおりて、ヘルメット治療をする旨を伝えました。
ヘルメット作成に7~9日かかるとのことで、次の予約は7/2に。
ちなみに。
このスキャンデータは5日で消去されるようで、保険会社の承認が遅いと再度スキャンし直しとのことです。そうなると順調に行った時に比べて2週間ほどさらに時間がかかるようになってしまいます。治療開始は早いにこしたことがないので、この2週間のロスは避けたいところ。それもあって、小児科の最初の担当者の対応には愕然としましたが... 最終的には無事に物事が運んでよかったです。
7/2(Hanger Clinicでヘルメットの受け取り、治療開始)...
3Dスキャンデータをもとにして作成したヘルメットの受け取り、ヘルメットの装着とお手入れの方法を教わりに。
ヘルメットの柄が第2希望のやつなんだけど!
まさかの1%を引き当てたようで、もっとちゃんと選べばと思ったのですが...
きちんと似合っていて安心しました。
実際の写真はお見せできませんが、結果的に良かったかなと。
ヘルメットの使い方、治療の進め方、お手入れの仕方などなど一通り教わった後に、実際に装着。(これらの情報は別記事にまとめようと思います)
おでこの部分と耳の部分を削って調整して、、、無事に調整完了。
今後は、
1週間後にヘルメット治療の調整、その後は2週間に1回診察をする
ようになるとのことでした。
ということで、ヘルメット治療が開始となりました。
まとめ
導入にしてはかなり長くなってしまいましたが、以上がヘルメット治療を始めるまでの話になります。いまヘルメット治療を開始して数日が経ちますが、本人がだいぶ慣れてくれたようであまり泣くことがなくなりました。(赤ちゃんってすごい)
確かに可哀想に見えることがあるのですが、今後のことを考えるといまの数カ月で治してあげたいという気持ちの方が強いです。月齢が低い時にもっとああしておけば、というのはもちろんあります。。。
治療を決めた理由、治療の進め方やヘルメットのお手入れ方法、治療の経過などは別にまた書こうと思います。
今回はこの辺で。